目をつぶらない

文学を専門とする大学院生の日記です

1.29

船曳先生は「青春の墓標としての卒業論文」を甘い考えだと書かれていたように思う。曖昧な記憶の中でフレーズから自分なりに解釈をすれば、それは以下のようなことだった。 卒論がうまく書き進められない人はどうしてそうなってしまうのか?それは、自分が大…

1.28

最近疲れやすい。午前中twitterに嫌気がさしたのでやめ、とにかく大学に行こうと電車に飛び乗りました。くっちゃべっているおばさんや大声で叫ぶ子供が多く嫌になりました。大学に到着して食堂にいったのですがなんかうるさく、図書館に行ったのですが試験期…

この間とある飲み会に出席して「いまなにしてるの?最近なんか面白い劇見たり美術館行ったりした?」と聞かれた時にあまりに何もなくて自分で驚いた。そうだ、私は大学三年生の前半までは一月に一度以上は美術館に行ったり演劇を見たりしていた。映画も結構…

飼っていた猫が死んだ

飼っていた猫が昨日の深夜、死んでしまった。 歯を全部抜く手術をして一週間弱の入院をし、やっとこさ退院してきたのが昨日の朝だった。久々に帰れたのが嬉しく、帰って来た直後は随分元気な様子だったそうだ。私は23時に帰宅したから、その話は大学の図書館…

35ひとりかくれんぼ

ひとりかくれんぼという都市伝説に関する記事を読んで、結局この怪談(?)にも鍵になる場面にテレビが出てくるのか、と思った。リングもテレビ、着信アリは携帯電話、その他諸々の聞こえては行けない、見えては行けないものを受信してしまったメディアにお…

34『それから』の代助の耐えられない若さ

大学に入ってから『それから』を何度も読んでいるが、私はかなり自分勝手な読み方をしており、例えば今日このエントリを書くために一応と思って調べてみるまで、主人公の代助が30歳だということを思ってもみなかった。もっとずっと若いと思っていた。椿の花…

33

明晰な思考をするということについて少し考えたけれども、それは私にとっては現実に今向き合っている状況・対象を客観視して、そこに現れてくる構造や規則を取り出し(言語化し)、把握するということなのだろうなと思った。それが出来ないのは、とどのつま…

32臆病に抗する/救いを求める

僕は臆病だと自己批判することに実質的な効力がなくなってきたように思うため、それがどのような形で自分にくっついてきてしまっているのかを考える必要が生じる。 『山月記』を待つまでもなく臆病さと自尊心は場合によっては全く表裏一体と感じられる。ここ…

31

それらの日々、浜辺から紫色で巨大に固まった雲がとどまっているのが見えた。それは凶兆そのもののように見えた。僕たちはその前でキスをしていたのだ。その雲の前に立つと、僕たちは僕たちの当為が、美しくすらある禍々しさに対して何らかの力を発揮しうる…

亡霊

「夢で僕は団地のある部屋の前にいる。その部屋のドアは開かず、開かなかった時の違和感で、そのドアはこの夢の中では当然の様に開くものだと、そのように直前までの、今このように状況を描写している僕と不連続な僕が、みなしていたのだということを知る。…

30

ウミガメセンターを訪問した日は大雨だった。熱帯の島に降る雨を見て僕は嬉しくなったものだ。遠くにガジュマルの木が横に一列になっているのを見る。それらは神秘的な壁のように立っているから、僕はそれより先にある、小さな山を見通す事が出来ない。 この…

29

一心不乱に穴を掘っては堀崩した砂のなかに空く、更に深みへと続く穴を見つける、それはいとも簡単に埋まってしまうから、途中から僕は手近な木の棒でそれを刺し、目印にしてから周囲を掘り崩していった。そうすると、常に次にどこを掘ればいいのかわかるか…

28 つづき

僕はそれからどのように死ぬか、そのことばかり考えていた。それはどのように生きるかという問いと不可分であった。なぜならどのように死ぬかと考えることはつまりは生きることだったからだ。このままでは僕は不明瞭になる一方だと、そればかり思った。小笠…

27「風立ちぬ」を批判する

「風立ちぬ」で私が興味深く思うのは、堀越二郎が足の骨を折ってしまった菜穂子の女中を背負って転んだ時に大汗をかきながらふと見つめた空の上の方にカプローニの作った飛行機と、それが飛ぶ美しく夢想的な色彩の空を観てしまうところである。そのような純…

26

「あなたは暗い部屋にいる、光源は小さな窓から漏れる街灯の光だけだが、それにより部屋の輪郭はぼんやり見える。しかも、あなたはその部屋について知っている様子である。半分手探りのようにしてパソコンを見つけたあなたの耳に、カチャカチャという金属音…

25頭

頭良くありたいと時々思うときはあるけれども、それは私の場合には「馬鹿にされたくない」ということだと自分で分かっている、だから、本当に頭が良くなる必要はない。頭が良いふりをすればよいのである。 しかし、「振る舞い」だけでは、はったりをかまし通…

24森岡正博『無痛文明論』-2

感想 以下は、『無痛文明論』で得たヒントを元に自由に考えたものである。 「生きる意味」を考える時に、私は真っ先に「意味は無い」で終わらせてきたのだが、『無痛文明論』を読む中で、「意味は無い」はむしろ、だから気持ち良く過ごせればよい、という無…

23森岡正博『無痛文明論』−1

知人の何人かが言及していたので、少し読んでみた。まだ100頁ほどのところなのだが、ここまででエッセンスとなる部分は大方提示された様に思われる。ここまでの感想を述べておきたい。 森岡氏は人間に本来的に備わっている身体の欲望に駆動された無痛文明が…

22

相手がこちらに配慮しようという努力をしてくれているのがわかれば、結果として気分を害されても落ち着いて考えた末に許す、という位の器量を身につけたい、相手の立場に立てればそれが出来るはずだが、実際は出来ない場面が多い、そのような場面では、私は…

21

カーテンの向こうに笑っている、知らない男がいたらどうしようと考え、その怖れで目を閉じることができないまま、不器用に髪の毛を全て後頭部になで下ろす様にして、出来る限り顏にシャンプーの混じった水がかからないようにしながら頭を洗う、私の目はカー…

20

唐突に始まる意識の中で、私は真っ暗な部屋に居た様に思う。そこは私の実際の部屋よりも大きくて、窓から漏れる街灯の光に多くの書類が照らされ、その白が目に痛かった。男達が歌っているのが聞こえた。この部屋が二階だとするなら地下で、三階だとするなら…

19『同時代ゲーム』-1

『ねじまき鳥クロニクル』と同時に、『同時代ゲーム』を少しずつ読み進めている。まだ大したことは考えていないので、メモ程度にする。 ○この作品を読む中で自分の中で一つ明らかになったのは、大江健三郎という作家の一つの特徴である。主人公=語り手の語…

17

それで肝心のノモンハン事件にどのように本編が関わるのかという問いなのだが、それに僕は答える準備が出来ていないので、気になった点を挙げることにとどめる。 まず、語り手の間宮は既に戦争体験から何十年もの時を隔てた現代の視点から語っているから、ノ…

16

村上春樹の作品は全部読みました、大好きだし、一時期色々考えました、と言う、年上の女性と、とある席で一緒になって、僕は自分が好んで読む、『ねじまき鳥クロニクル』について話を聞こうと思った。 僕はこの作品がとても好きなのだが、その理由は鼻持ちな…

16

駅で久々に会った友達は、君はどうしたんだと声をかけたくなるほど、やつれているような顔つきをしていた。僕はその表情から受ける感覚を少し考えた末に、やつれているというより老いてるんだ、彼の中に老いの兆候を見たのだと思い当たった。疲れてそうだっ…

15

部屋の散らかり具合は場所によって様々であるから、「部屋が散らかっている」という風に一括りの表現を用いるとそれ以上に問題が明確化されない。「机が汚い」のような局所的な散らかり具合を示す言葉が必要だ。私の部屋は机に座った時左手側に位置する空間…

14 ヒカルの碁

読んだ本や漫画の内容や、読んだ時に思った事を書き下すのは有益だと思ったので書きます。先日ヒカルの碁の完全版を発掘してしまい、しかもそれを読み始めてしまい、ただでさえ主観的に時間がない(実際はありあまるほどある)のに、苛立ちを募らせる事にな…

12

布団から抜け出せないので、これはよくないと思った。毎日一時間を無駄にしている。睡眠は7時間とっているのだから足りないことはないはずだ。忍耐力に欠けるぼくはどうしても上手い具合に起きることができない。部屋が寒すぎるから。いつからぼくの部屋は…

11

(この街の稜線は夢のようにぼんやりとしており、時折むこうに小島も見えるのだ―― 桜の木の根本の死者の唇で、米粒のようなウジが揺れ、春風に彼がやってくる。大学院生に間違われたことがあるという彼の目は、遠くを見据えるときだけ無邪気な子供の様だ。彼…

9

新しい時代が迫ったのを感じた、肌の上をすべってゆく流線型の新しい時代が、彼はそれを滑らかに知り、そして遠く果てしない砂漠から僕の方を見る、夜の空に金色の月がかかり、駱駝の群れが砂丘を滑りおちる、一頭、また一頭、吸い込まれる、彼が僕の方を観…

8

時間が出来るとその分なにか楽しもうと思うが、その方法をあまりに知らないために、遠出をし文化的活動をすればいいと思考が固まり、気づいたら美術館に来ている。しかもそこであまり真面目に美術品を見ると言うのでもなく、むしろ本を読み始めてしまうから…

7

何かに集中することが出来なくて、学校から帰ってから夕飯を食べ、ベッドにねっころがると、そのまま散漫な集中力で二時間くらいすごしてしまい、そのことへの後悔があまりに激しいので休養にならない休養となった。休養にならない休養をしてしまったことに…

2

全く眠れないにも関わらず、本を読むことも物を書くこともできない夜行バスの中で、僕は眠るまでの3時間、色々なことを考えていた。それは目の前に唯一明かりとして見える、座席用の小さな天井灯のスイッチ、その光の感じが秋の夕暮れに似ているといった連…

1:

なにか書きたいと思うとき、ワードにひたすら綴るのも良いであろうしTwitterで迷惑を顧みず長文ツイートを連投するという手もあるだろうが、それにしてもまとまった量を「誰かに読まれているかもしれない」という意識のもとに書いてみたかったために、こうい…