目をつぶらない

文学を専門とする大学院生の日記です

21

カーテンの向こうに笑っている、知らない男がいたらどうしようと考え、その怖れで目を閉じることができないまま、不器用に髪の毛を全て後頭部になで下ろす様にして、出来る限り顏にシャンプーの混じった水がかからないようにしながら頭を洗う、私の目はカーテンの向こうにいる笑う男を想像しながら、それをあたかもカーテンを透かして必死で見ようとするかのように、ずっとカーテンを見ていたのだ。目を閉じる事が出来ないから見るしかなかった。やはり多少の水は顏に掛かってくるから、それらは薄まったシャンプーが混ざったお湯であるということに当然なり、目にしみて涙が、涙ぐんだ目で私は、不思議な集中力でカーテンを凝視していた、