SUMMERY

目をつぶらない

滑らかに生きたい。明晰に生きたい。方途を探っています。

大江健三郎

私にとっての「広島への最初の旅」

毎年この時期になると、高校時代の社会科ゼミナールで、8月6日〜9日まで広島に研修旅行に行ったことが思い出される。高校2年生の時だった。旅程は平和運動を行う高校生団体との交流や、町歩きフィールドワーク、公益財団法人放射線影響研究所・広島市立大学…

なぜ「信仰」なのか 柳田国男・丸山眞男・大江健三郎に学びつつ

柳田と丸山の新書を読んだ ここ数日柳田国男と丸山眞男に関する新書を読んでいた。具体的に読んだのは以下の二冊。 柳田国男 ──知と社会構想の全貌 (ちくま新書) 作者: 川田稔 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/11/25 メディア: Kindle版 この商品を…

大江健三郎における「本当のこと」

先の記事を書きながら、大江健三郎の作品を長らく読んできた身として、どうしても「本当の事」というフレーズを大江健三郎と結びつけて思い出さざるを得なかった。 summery.hatenablog.com Betterさんのモデルになった人が意識していたかはわからないのだが…

「懐かしい」とは何か? 大江健三郎『M/Tと森のフシギの物語』

毎日なかなか疲れる。そもそもこれまでずっと座りっぱなしの生活を送って来たのだが、今は毎日、二時間は立っている。もちろん電車で。それなりに空いている電車に長時間乗るのが私の通勤スタイルで、生活のあり方としては、どちらかといえば健康的になった…

悲しみとの共生:大江健三郎「資産としての悲しみ—再び状況へ(五)」

物語に倦んで、ふと手にとった『世界』(1984年7月号)に大江健三郎さんのエッセイを見つけた。「資産としての悲しみ−−−再び状況へ(五)」と題されたこのエッセイは、『生き方の定義−−−再び状況へ』という単行本に収録されることになった。 ci.nii.ac.jp 単…

転換のトラウマ:『燃えあがる緑の木』

書いたことを公にするのに倦んでいた。日記はひたすらに書いていたのだが、それらは公にするにはあまりにも私的だったり、文章がおぼつかなかった。webライターと呼ばれる人々が呼吸をするようにいつもの文を紡いでいるのだったら、確かにそれは技術だと思う…

19『同時代ゲーム』-1

『ねじまき鳥クロニクル』と同時に、『同時代ゲーム』を少しずつ読み進めている。まだ大したことは考えていないので、メモ程度にする。 ○この作品を読む中で自分の中で一つ明らかになったのは、大江健三郎という作家の一つの特徴である。主人公=語り手の語…