SUMMERY

目をつぶらない

滑らかに生きたい。明晰に生きたい。方途を探っています。

出国、離人

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 今日から海外出張で、今羽田空港国際線の搭乗ゲート前で書いている。随所に大きめのテレビモニターのようなものが立ち、日本の製品、美容品、食品や地方文化の紹介などをしており、モニター音から解放された静かな場所がなかなか見つけられない。紹介は全て日本語でなされるのだが、出国する日本人たち向けなのだろうか。

 大学二年生のころ、トランジットで4時間ほど滞在したヘルシンキ空港は、本当に居心地のよい場所だった。特別なおもてなしがあるわけではなく、また、興趣を引く様々な物品があったわけではない。だだっ広い場所に、ほぼ椅子以外何もなかった。壁や床、椅子などの色はそれぞれに落ち着いていて、全体のバランスもよかった。空港は大概そうだと思うけど、ヘルシンキでも、発着陸する飛行機を見渡す窓は壁一面に広がり、果てしなく大きかった。ほとんど、外とつながっているようなのである。ここでならものを考えられる、と素直に思えたのだ。

 ポツンとあったカフェで飲んだコーヒーは、マクドナルドのような簡素なカップに入れられ、味もそれほど良くはなかったが、5ユーロくらいした。ユーロを使った初めての経験だった。

 

 安い航空券しか買わないから、海外に行くときは毎回のように朝が早い。始発で間に合いそうにないので父に車をだしてもらうこともしばしばだ。

 今回は電車だが、5時台に起きなければならなかった。前日22時には寝たので、5時には自然に起きられると思ったが、念のためにセットしておいた目覚ましで叩き起こされた。そのとき私は、ハリー・ポッターとして生きながら、しかし競馬場の職員をしていた。競馬場の職員なんて、ハリーとはかけ離れていそうなのに、夢の中の私は、確固として自分をハリーとアイデンティファイしていた。疑うことすらなかった。目覚ましで起こされ、自然に起きられないほど深い眠りに、明け方入り込んでいたことに驚きながら、せっかく面白そうな夢だったのに、と悔しくなった。

 三週間、海外にいる。やれやれ面倒だと思うが、面倒なことをしないと、新奇な体験をできないことも事実である。海外に行って、後悔したことはあまりない(コストに見合わないな、と思ったことはある。って、これが後悔か・・・)。今回も漠然と期待している。