SUMMERY

目をつぶらない

滑らかに生きたい。明晰に生きたい。方途を探っています。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

30

ウミガメセンターを訪問した日は大雨だった。熱帯の島に降る雨を見て僕は嬉しくなったものだ。遠くにガジュマルの木が横に一列になっているのを見る。それらは神秘的な壁のように立っているから、僕はそれより先にある、小さな山を見通す事が出来ない。 この…

29

一心不乱に穴を掘っては堀崩した砂のなかに空く、更に深みへと続く穴を見つける、それはいとも簡単に埋まってしまうから、途中から僕は手近な木の棒でそれを刺し、目印にしてから周囲を掘り崩していった。そうすると、常に次にどこを掘ればいいのかわかるか…

28 つづき

僕はそれからどのように死ぬか、そのことばかり考えていた。それはどのように生きるかという問いと不可分であった。なぜならどのように死ぬかと考えることはつまりは生きることだったからだ。このままでは僕は不明瞭になる一方だと、そればかり思った。小笠…

27「風立ちぬ」を批判する

「風立ちぬ」で私が興味深く思うのは、堀越二郎が足の骨を折ってしまった菜穂子の女中を背負って転んだ時に大汗をかきながらふと見つめた空の上の方にカプローニの作った飛行機と、それが飛ぶ美しく夢想的な色彩の空を観てしまうところである。そのような純…

26

「あなたは暗い部屋にいる、光源は小さな窓から漏れる街灯の光だけだが、それにより部屋の輪郭はぼんやり見える。しかも、あなたはその部屋について知っている様子である。半分手探りのようにしてパソコンを見つけたあなたの耳に、カチャカチャという金属音…