SUMMERY

目をつぶらない

滑らかに生きたい。明晰に生きたい。方途を探っています。

アニメ・漫画

既に持っているものの中にある、乗り越えることの契機:『千と千尋の神隠し』

昨日書いた以下の記事の続き。『千と千尋』の作品評でなく、それを観た自分の経験について書いています。 summery.hatenablog.com 上の記事にあるように、10歳の頃の私は、スクリーンの前で、連なるイメージや展開など、ほぼ全てのことに驚愕したのだった。…

『千と千尋の神隠し』を観た10歳の頃のこと

先日テレビで『千と千尋の神隠し』が割と遅い時間帯にやっていて、後半の一部を観た。観ていると、この映画を初めて観た時のことを幾重にも思い出した。私にとって同作は、距離を持って〈批評的に〉語ることが難しい作品である。それを鑑賞することは、幼少…

『闇ミル闇子ちゃん』・アイデンティティ・大学院(雑記)

『闇ミル闇子ちゃん』(2014)の単行本を明け方ふと読み直した。本棚にひっそりとしまわれているのに気づいてしまったから。 勉強では順位が決まるから一番になれないけど、自分のでっち上げた芸術の«城»に閉じこもってればいつだってオンリーワンだものね! …

四年ぶりの『風立ちぬ』考:叶わない夢を追うことのペーソス

久しぶりに『風立ちぬ』を観た 四年前、『風立ちぬ』を観て急ぎ以下の記事の感想を書いた。タイトルのとおり、『風立ちぬ』を批判した記事だ。 summery.hatenablog.com その後、大学院でさらに勉強を進めたり、映画『この世界の片隅に』を観て戦争とその表象…

『秒速5センチメートル』や『風立ちぬ』を観て泣きたい君へ:私たちの世代のロマン的感傷のありかを考える

大学時代に友人の県人寮で一夜を明かした。彼は男性同士の汗臭い友情—極点では同性愛に通じるようなそれ—をすごくナイーブに求めていた。そうした類の感傷を私は普段なら馬鹿にして終わりなのに、あまりにも彼が真面目で、真面目にナイーブな感傷を抱いてい…

スカイ・クロラの同人小説の断片

週休二日制の労働者をしていて不思議なのは水曜日と木曜日の境である。水曜日までは「まだ水曜日か」と思っていて木曜日になると途端に「もう木曜日なのか」と思うようになる。本当に、不思議。 以前戯れにスカイ・クロラの同人のようなものを書こうとしてす…

エヴァンゲリオンの中の愚かな人間たち

お正月にPrime Videoにエヴァ序・破が入り、何事にも基本的に集中できない飽食と惰眠の二、三日、なんとなく改めて観たのだった。実に五年ぶりくらいだった。というのもQは気になって何度か折に触れて観てはいるものの、序と破はQの前座のような気がして、ス…

余白から生まれる透明な寂しさがいい 市川春子『宝石の国』

大学の友人たちとの読書会で、市川春子『宝石の国』を読んだ。今日はその感想を書いていこうと思う。 宝石の国(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 市川春子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/07/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (9件) …

ヒカルが碁に向かう姿のリアリティ:ジャンプ的成長物語の傑作『ヒカルの碁』

先週末に実家に帰って、ふと『ヒカルの碁』を読んだ。 ヒカルの碁 全23巻完結セット (ジャンプ・コミックス) 作者: 小畑健 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2010/01 メディア: コミック クリック: 6回 この商品を含むブログ (11件) を見る 主人公が成長して…

どんな映画になるのかな。宮崎映画『君たちはどう生きるか』を『風立ちぬ』から予想する。

どうやら宮崎駿の新作映画のタイトルは、朝日新聞によれば『君たちはどう生きるか』らしい。正直かなり驚いた。この情報は朝日新聞デジタルより。 www.asahi.com 同記事にも言及があるように、このタイトルは吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』からとった…

押井守監督『スカイ・クロラ』:諦めることとともに生きる

今回は(今回も?)あまり一般読者に裨益する記事ではないのだが、好んで観るアニメ映画「スカイ・クロラ」について書く。現時点でこの作品について言及したりまともに論じているブログ記事などは少ないので、この作品に出会い、どうしようもなく気になって…

あなたにとって戦争はどう見えるのか? 「この空の花−−長岡花火物語」「この世界の片隅に」:早稲田松竹に行ってきた。

あけましておめでとうございます。年末に読んだ本や観た映画、行った場所の中で面白かったものをまとめます。 別のブログに以下のような記事も書いたのですがこっちではこっちでまた別に書きます。 queerweather.hatenablog.com 映画:早稲田松竹に行ってき…

ナルトを読んだ

何やらもやもやとした気分で読むことも書くこともうまく出来なくなっていた。多分原因は、ここ四日ほど、人とほとんど一言も会話していないことにある。読んで書くだけに、身体が飽きているのだ。つまり私は人と話したいのだと思う。もしくは、身体を動かし…

『この世界の片隅に』で気になった時限爆弾シーンの着物について考えてみた

『この世界の片隅に』を観てきました。印象に残ったシーンに関して、感想を述べたいと思います。 解離するすずさん 『この世界の片隅に』について、東浩紀さんは以下のように述べています。 アニメーションの本質はなにか。それはすべて嘘だということである…